株式会社ナイキフーズは1996年創業。主にレストランなど外食産業向けの業務用マスタード製品を提供する企業です。創業社長の石川一郎氏(現・取締役会長)は芥子(カラシ)の専門メーカーから18年前に独立し、世界の中で認知されている本場の「ディジョンマスタード」と関連商材の輸入と商品開発に特化した事業に注力しておられます。
本場フランス産にこだわり、その味わいと魅力の発信を企業の基本とし、日仏の食文化の交流から近年は商品カテゴリーを拡大し小売り分野からも商談が持ち込まれるようになったそうです。
石川会長と思いを同じくして、日本の食シーンに本物の味を根付かせたいとしているのが、同社代表取締役社長の川野礼子氏。海外のすぐれた商品との出会い、FABEX出展でどのように商品をPRしているかを中心に川野社長からお話を伺いました。
(聞き手:日本食糧新聞社 山田由紀子)


Q2.取扱商品はどのようなものでしょうか。
フランス・ディジョン産の「ディジョンマスタード」、粒入りの「グレインマスタード」、マスタード種子をブドウ果汁で漬け込んだ「葡萄の芥子」など業務用商品を取り扱っております。それぞれ、少量から16kg前後の缶入りまで、お客様にとって使い勝手のよい規格サイズをご用意しております。
Q3.フランス産のマスタード製品にこだわる理由を教えていただけますか。

古い文献にもマスタードをブドウ果汁と合わせ、調味料として使ってきたという記載があります。先駆者が時間をかけて生み出した洗練された味わい。それが「ディジョンマスタード」の魅力です。
30数年前頃からヨーロッパからいろんなマスタード製品が入ってきましたが、日本でつくるとなかなかその味が出せないのです。“納得のいくマスタード製品を日本の皆さまにご提供したい”という石川の思いとフランスのあるディジョンマスタードとの出会いが出発点となり、現在も当社の基本理念となっています。
Q4.FABEX2013ではどのような商品を紹介したのでしょうか。

2011年9月にTVの情報番組で、市販商品がないのを承知で業務用「葡萄の芥子」を紹介してくれました。これが大反響で、1000人を超える方からどうしても購入したいというご要望をいただき、急きょ140g入りビン、税込み630円の小売商品を企画し、年末に発売することで対応いたしました。
思いもかけず小売り分野に分け入ることになったわけですが、翌12年に石川が、フランスのストラスブールという街で行われた日本食イベントで約2週間鯛焼きを焼くことになり、連日長蛇の列ができるほど人気を呼びました。現地のTV、新聞はもとより、日本の新聞でも大きく取り上げられ、日本の伝統的な食文化を海外に発信することができました。

一見ピザに似ていますが、定番メニューは発酵しない小麦粉のパイ皮に生クリームとスライスしたオニオンやベーコンを乗せてオーブンで焼き上げたもの。フランス製法というか粗めのメッシュの小麦粉の香りの豊かさとうま味が、トッピングする具材と良くマッチして大変おいしい。この未知の味を日本にも紹介しようということで、まさに日仏食文化の交流となったわけです。
この「タルトフランベ」をFABEX2012で新製品としてお披露目させていただきました。
Q5.出展ブースでは具体的にどのような提案方法を取ったのですか。
基幹商品のマスタード3商品の試食、特に「タルトフランベ」は試食を重視して、まずみなさんに名前を覚えていただくことから入りました。意外だったのは、外食関係企業のバイヤー様が「おもしろい商品を扱っているんだね」と注目してくださり、その波及効果なのか、マスタード製品の商談件数が増えたのです。
高級スーパーなどに販路が広がってきていますので、イチ押し商品の「タルトフランベ」を小売業界に認知・浸透できる道筋が見えてきたように思います。
Q6.そうすると来年4月のFABEX2014での展開が楽しみになりますね。
タルトフランベは、ヨーロッパ産の酸味のきいたリンゴ「グラミースミス」を使ったものやポルチーノ茸など6種のキノコを使った製品などもございます。ストラスブールのタルトフランベメーカーにはまだ魅力的なシリーズラインナップ製品がありますので、来年のファベックスで市場調査を行い、その結果に合わせ製品の充実を図ることも検討しております。
そういう意味で、FABEXの出展は当社にとって事業拡大の大きなチャンスと考えております。
--ありがとうございました。